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「全部出た? もういい?」

丁寧に黒瀬が潤の中心を振る。
そして雫がないのを確認してから、ガウンの中に収めた。

「黒瀬…手…、洗えよ。汚いから…」
「何言ってるの? 尿は汚くないよ。成分的にも。飲めるくらいだから」
「うわっ、バカッ、止めろっ!」 

黒瀬が潤の尿で濡れた指を自分の口に持っていき、舌で舐め取った。

「ふふ、ごちそうさま」 

驚愕で固まった潤を横目に黒瀬が満足そうに微笑みを浮かべる。

「…信じ…られない…」
「何が? 潤も潤の身体も、潤から排出されるものも、全て私には愛しいよ……ね、潤は違うの?」
「…違わない…と、思う。ねえ、俺も舐めてみたい……黒瀬…、ここでしろよ。出るだろ?」 

そうだよ、俺ばかり一方的に恥ずかしいんじゃあ、不公平だよ。
黒瀬が俺の排尿見たんだから、俺も見たいし、味知りたい。
俺だって、それぐらいできる。
黒瀬に負けないぐらい、全部が好きだ。
「出ないこともないけど……、だったら…どうせなら、潤の為に出したいな」 

俺のためにオシッコって何だ、それ? 
少し待っててと、黒瀬が潤を便座に座らせ、バスルームを出て行った。
そして、寝室に置いたままだった、薬と何やらが入っていた袋を下げて戻ってきた。
その袋を潤の足下に置くと、潤を向き合う形に抱き上げ、便座を椅子代わりに腰を降ろす。

「潤、もし嫌だったら、嫌でいいから、話を聞いて。潤が嫌なことはしないから。そのときは買ってきてもらったものがあるし…
」「何だよ?」
「潤は私のオシッコ、汚いと思わない?」
「だから、言ったじゃん。舐めてみたいって。汚いって思うならそんなこと言わない」
「嬉しい。だったら、別に上の口じゃなくてもいいよね?」

口じゃなかったら、味わかんないだろ?

「どういうこと?」
「潤の中に出したい。下の口にってこと。コーヒーやイチジクやスペシャルの代りってこと。私の放出したもので排泄を促すの…嫌? 気持ち悪い? 怖い?」 

黒瀬の言葉の意味が、最初よく分らなかった。 
即答せずに、ゆっくり考える。 
それは……、黒瀬が俺の中にオシッコするってことで、それが浣腸だということ? 
つまり、黒瀬の体内から出されたものを使って俺の中のものを出して綺麗にするってことだよな?  
辛いのは、何を使われても排泄行為自体だから、逆にその前は何でも同じだ。
いや、違う。薬品使われるより、黒瀬の体液のほうがいい。
むしろ、嬉しい…。 
黒瀬の身体から出たものが、俺の中に入る。そして、俺のと一緒に出るってことだよな? 循環?  
よく分らないけど、凄い特別なことだ。 繋がりが深いってことだろ? こういうのって?  そこまで思ってくれているってことだよな? 
胸が熱くなる。知らず知らずのうちに涙目になっていた。その目で黒瀬を見つめた。

「潤、ごめん。そんなに嫌だった。気持ち悪いよね。ごめんね。忘れて」
「違う! 嬉しいんだ。しろよ。それして」  

心が通じ合ってない者同士なら、ただのSMプレイかもしれない。
そんな提案されたら、自分を便器扱いするのかと、憤慨するだろう。
しかし、潤にはそういう考えが一切浮かばなかった。何故なら潤を闇の淵から救いあげたとのは黒瀬で、その黒瀬に潤は愛情と共に深い信頼を寄せていた。

「本当にいいの?」 
潤が頷く。 
涙を流すほど、辛い提案だったのかと思った黒瀬に、潤の回答は真逆で、今度は黒瀬の胸に込み上げてくるものがある。 
潤が舐めたいと申し出たとき、何故か閃いたことだった。
もちろん内容が内容なだけに拒絶されても構わなかったが、やはり嬉しい。
それは自分と潤の想いの深さが一致だということなのだから。「どうせ薬剤使うなら、黒瀬のがいい。

「でも、どうやって?」
「全部私がしてあげるから、潤は心配しなくていいよ」 

潤を抱えたまま、黒瀬が立ち上がり、潤だけを便座に戻した。

「準備するから」 

黒瀬がバスタオルを数枚持って来て、バスルームの床に広げた。
そしてバスタブのリモコンを操作して、湯を張る設定をした。

「移動しよう」 

潤を抱き上げ、バスタオルの上にゆっくり降ろす。
潤の上半身を倒し、ガウンの裾を捲りあげた。
便器の下に置いてあった袋をバスタオルの近くに持ってくると、潤の脚をM字に開いた。 
これから始まろうとしていることに、潤の鼓動が速くなる。羞恥心と不安、喜びと期待が入り交じり、心臓のドキドキという音が聞こえてきそうな勢いだ。

「酷い状態だから、もちろん挿入はしないけど、少しお口を開かせないとね」 

袋から、先程使った薬を取り出し、また塗る。薬を潤滑油代わりに、潤の蕾にタップリと塗り込めると、指を一本差し込んだ。

「…ぁあっ」 

差し込んだ指を前後に動かすので、潤の身体に痛みと甘い疼きが同時に走る。

「感じちゃった?
」「…バカッ…あ、ん」 

潤の蕾が指に馴染み、口を開いたところで、指を抜いた。

「じゃあ、するよ」 

潤の僅かに開いた穴を確認してから、黒瀬がガウンから、自分の一物を取り出すと、潤の穴に自分の尿道口が合わさるように、亀頭を押しつけた。